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食事療法のポイント

食事療法の必要性

透析療法が進歩した現在においても、適正な食事療法は欠かすことができません。正常な腎臓は、1日24時間働いていますが血液透析は週3回の短い時間しか腎臓の代行は出来ません。それに加えて腎臓の働きの全てを行えるものでもありません。食事は治療の一つであり、栄養状態の良否は健康状態・体力を大きく左右します。

ここでは、食事療法のポイントについて説明します。食事療法が体を維持するために必要であることを認識して、食事療法が必要となってきます。具体的には、栄養士さんから指導を受けることが出来ます。

カロリーの摂り方

人間の体は食べ物によってエネルギーを使って活動しています。体を動かさない状態でも体温の保持・呼吸・血液の循環などによって体力は消耗します。 

透析は非常に体力を使う治療であり、エネルギーが不足すると、体の蛋白質が燃えて尿素窒素やクレアチニンが上昇します。 適度に運動して、ベスト体重を保ちましょう。

蛋白質の摂り方

人間の体は水分を除くと、ほとんどが蛋白質でつくられています。筋肉・血液・内臓はもとより爪・骨も主体は蛋白質です。蛋白質の不足は貧血やむくみの原因となるため必要量を適切にとることが大切です。

塩分制限

常な腎臓はナトリウムを調節しています。
腎不全では、ナトリウムの排泄が出来にくくなり、血液の中に貯まってきますます。そのために一日の食塩を5~7gに制限することが大切です。塩分をとりすぎると、のどが渇き水分をとりすぎてしまいます。

水分制限

正常な腎臓は尿量を調節することにより、体内の水分の量を一定に保っています。腎不全では尿が出なくなり、体の中に水分がたまります。水分をとりすぎると、むくみ・体重増加・呼吸困難・血圧上昇などの症状が出現し、高血圧・心不全・肺水腫などの原因になります。塩辛いもの・味の濃い物を制限し、のどが渇かないようにしましょう。

カリウム・リンの制限

腎機能が低下すると、カリウム・リンは腎臓から排泄されないので血液の中に貯まっていきます。カリウムをとりすぎると、手指や唇がしびれる・だるい・胸が苦しいなどの症状が出現し、心臓が止まってしまう事もあります。カリウムを多く含む食品(果物・生野菜・牛乳・乳製品・お茶・コーヒーなど)は避けましょう。

リンが体の中に貯まると、血液中のカルシウムを低下させ骨がもろくなったり、体にリンが貯まり痛みが出たり、かゆみが出たりします。リンを多く含む食品(牛乳・チーズ・小魚・うなぎの蒲焼など)は避けましょう。

食塩を無理なく減らす工夫

● 食材

  * 新鮮な材料を選ぶ
  * 塩漬けの食品は避ける
      漬物は、浅漬けにすると塩分が減らせる
  * 加工品は少なめに
      できるだけ食塩が添加されてない素材を選んで
      自分自身で調理すると食塩の摂取を少なく出来ます

● 調理の工夫

  * 食塩を使わない料理
      味付けは食卓で自分でしましょう
  * 油を使った料理を取り入れる
       油そのもののうま味で塩がなくても食べられます

● 食べ方の工夫

  * 同量のしょうゆを使うのなら減塩しょうゆを利用する
  * しょうゆは「かける」より「つける」ようにします
  * めん類は汁を飲まないようにします
  * 漬物は浅漬けを決めた量だけ小皿に取り分けます

カリウムを抑える

● 食べ方の工夫
生野菜は切って水にさらしたり、煮こぼしましょう

この方法で、25~30%カリウムを減らすことが出来ます。カリウムは海藻・豆・野菜・果物・コーヒー等に多く含まれています。

カリウムは筋肉の収縮や神経の働きを保つ上で必要な物質です。しかし、カリウムは透析患者さんでは尿中に排出されないため、高カリウム血症になる恐れがあります。

高カリウムの状態が続くと不整脈・呼吸困難などの、重い症状を引き起こしかねません。

リンを抑える

● 食べ方の工夫
日頃から蛋白質の摂り過ぎには注意しましょう
カリウムのように調理の段階で減らすことは出来ないため摂取量減らさなければなりません。

リンは肉や卵など蛋白質に多く含まれ、骨を作っている重要な物質です。しかし、尿排泄がないときは体にたまって高リン血症を起こします。

高リン血症が何年も続くと骨はしだいにもろくなり、歩行や関節に障害が出てきます。すぐには症状がないので、日頃から蛋白質の摂り過ぎについては注意したいものです。